転職成功者インタビュー

EF Polymer株式会社
八木沢勇介さん(研究開発マネジャー) 42歳

沖縄発アグリテックベンチャーで研究開発を統括、闘病10年を経て出合った新たな道。

日本を代表する大手精密機械メーカーに勤務し、主力商品に搭載する部品の研究開発を手掛けてきた八木沢勇介さん。在職期間15年のうち約10年は病と闘い、心身に向き合う苦しい道のりだったという。

療養に専念するため退職して1年後、医師の了解を得て再就職活動をスタート。沖縄科学技術大学院大学(OIST)内にあるスタートアップ企業EF Polymer株式会社に出合い、2022年10月に再就職を果たした。

100%オーガニックで完全生分解性の超吸水性ポリマーを開発し、水不足や環境問題に対応する農業用資材として国内外で販売を始めている同社。故郷の千葉を離れて沖縄に移住し、新たな挑戦を始めた八木沢さんに、これまでの経験や沖縄で働く意義を尋ねた。

※本記事の内容は、2023年3月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
1回
活動期間
エントリーから内定まで63日間

転職前

業種
精密機械メーカー
職種
研究開発職
業務内容
精密機器の開発・品質管理

転職後

業種
素材産業
職種
研究開発マネジャー
業務内容
研究開発及び製造・品質管理

大企業からスタートアップ企業へ。農業の課題解決を目指し新たな研究開発に挑む。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

創業者のナラヤン・ラル・ガルジャールCEOの下、研究開発マネジャーとして基礎研究、製品開発、知的財産統括、品質保証を担っています。

弊社の開発した商品「EFポリマー」は、果物の皮など通常なら廃棄される生ゴミから生成する100%オーガニックのポリマーです。保水性、保肥性に優れた農業資材として日本、インド、ポルトガルなどで販売を始めており、オーストラリアやアメリカでも近く販売を開始する予定です。

入社前のご経歴を教えてください。

大学時代は工学部で学び、大学院では有機・高分子物質を専攻しました。卒業後は大手精密機械メーカーに就職し、レーザービームプリンターの交換カートリッジ内の多機能性部品の開発などを担当。退職までの15年間に計8製品の立ち上げや製品の量産化・品質対応に携わり、特許出願は外国案件を含め20案件ほど担当しました。

思い返せば、百科事典を朝から晩まで読んだり、小学校時代の文集に「歩く計算機」と書かれたりと、未知に触れるのが好きな子どもでした。大学・大学院時代には、幅広く「物を触る・作る・評価する」経験を重ねました。振り返れば今の仕事に繋がっていると思います。

転職のきっかけは?

前職時代、心身の不調が長く続き、入社15年後の2021年3月末に退職しました。自分の重症度を認識できず無理を押して働いてしまい、結果的に休職と復職を繰り返す結果に。力の抜き方を知らずに一直線にやってきた弊害が出たのだと思います。

父が他界したことへのダメージや、休職を繰り返すことへの苦しさもありました。退職後はいかに自分の体調を安定させるかを第一に治療に専念し、退職から1年後の2022年3月、医師の了解を得て再就職に向けて動き始めました。

転職活動はどのように進めましたか?

まずは英語のリハビリを兼ねて海外の転職サイトに登録し、リサーチや練習を重ねました。その後、国内の転職サイトに5社ほど登録し、高分子研究の知識を活かせそうな国内外の企業に数十社応募しました。

そのうちの1社が現職のEF Polymerでした。2022年6月に応募してすぐ、リージョナルキャリア沖縄の担当コンサルタントから連絡をいただき、7月にオンライン面談に臨みました。

製品のポテンシャルを確信。さらに追究し「市場に存在感を示したい」と意欲を燃やす。

今の会社に決めたポイントは?

経験を活かせる「高分子」の研究開発に加え、「沖縄」という勤務地も決め手となりました。というのも、約10年の闘病期間に、自分は寒い時期に体調を崩しやすい傾向を認識していたからです。

再就職に当たっては健康管理が一番大切だと考えていたので、検索ワードに「沖縄」も入れてリサーチしていました。自分のペースで働けそうだと感じられた点も、ワークライフバランスの観点から好印象でした。

転職していかがですか?

病気休職の経験があるので、就職活動は厳しいものになるだろうと考えていました。そんな中、リージョナルキャリア沖縄のコンサルタントに出会えて本当に良かったと、心の底から思っています。

面接が終わった後のアドバイスやフォロー、雇用契約の調整に至るまで、全てにおいて迅速かつ丁寧に対応していただきました。100点満点で考えると150点です。

生活面の変化はありましたか?

移住当初は海を見ているだけで癒されましたが、それも見慣れてしまうほど贅沢な環境です(笑)。ドライブが好きなので、そろそろ新しい車を購入しようかと楽しみにしているところです。

沖縄はマングローブ林の存在など県外とは植生が全く違うので面白いですね。また、基本的に学ぶことが好きであるということ、自分を元気にしてくれた沖縄への恩返しのために、沖縄の政治や経済や教育の課題などについても調べています。

今後の目標はありますか?

まずは健康に過ごすことが最大の目標です。その上で、今後さらにEFポリマーの力を世界中に広め、市場に存在感を示したいです。非常にポテンシャルが高い製品で、まだまだ伸びしろがあります。

創業者の「水不足と肥料不足に悩む世界中の農家を助けたい」という思いや、水不足や環境問題の解決に向け、「僕たちが開発するから任せて」という思いに、研究開発の統括として大きな期待感を持っています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

沖縄は「製造業が他都道府県に比べて弱い」と言われますが、OISTを含めスタートアップ企業を支援してくれる体制は整っています。沖縄で研究開発することで、製造業の育成にも貢献できるので、エンジニアにとっては逆に大きなチャンスです。

沖縄で働くメリットとしては自然との距離が近く、のびのびした雰囲気の中で働けることです。生きる上で仕事は大切ですが、全てではありません。何より健康を大切にしてほしいです。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
島村 賢太

日本の科学技術の発展を目指し、内閣府の肝入で創設された沖縄科学技術大学院大学(通称OIST)。沖縄に新しい産業を創出し、研究開発型ベンチャーエコシステムを構築し、沖縄経済に貢献することも目的の一つです。

EF Polymer社はOISTベンチャーの中でも注目を集め、世界に向けて今後さらに事業展開できる可能性を秘めたスタートアップ企業です。その実現に人生をかけようと、沖縄に移住・転職されたのが八木沢さんです。

私共も同じインキュベーション施設に入居しているので、八木沢さんの働く様子を目にする機会があります。ストイックさや真面目さと同時に情熱も持ち合わせ、ユーモアもある優れた研究者です。沖縄への移住後、心身共にさらに充実しているようで、いきいきとお話しくださる姿が印象的でした。これからも沖縄から世界に向けて、一緒に頑張りましょう!

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