転職成功者インタビュー

凸版印刷株式会社
比嘉昌人さん(仮名・ITエンジニア) 34歳

派遣エンジニア10年で培ったスキルを武器に、故郷・沖縄で新サービスの創出を目指す。

「新しいサービスを自分で生み出したい」-そんな思いを胸に、比嘉さんは2021年9月に世界規模の印刷会社、凸版印刷株式会社に転職した。それは奇しくも同年6月に同社が新規事業の創出を目指し、沖縄にサテライトオフィスを構えたタイミングだった。

大学卒業以来10年、派遣型のエンジニアとして計7社で多種多様な開発案件を手掛け、スキルを磨いた比嘉さん。本社は故郷沖縄県にある企業だったが県外への派遣も多く、5年近くは千葉県など沖縄県外での勤務。慣れない場所や、人との関わり方などは「あまり得意ではなかった」と語るが、振り返ればいつの間にか適応力が身に付いていたという。

日々の仕事には真摯に向き合いつつ、転職サイトのチェックは何年も前から続けていたが、本格的に転職活動を始めたのは随分後のことだった。初めての転職活動を通して感じたことや、キャリアへの向き合い方について、比嘉さんの体験談を伺った。

※本記事の内容は、2022年9月取材時点の情報に基づき構成しています(凸版印刷 DXデザイン事業部は2023年10月1日に「TOPPANデジタル」に社名が変更となりました)。

過去の
転職回数
1回
活動期間
エントリーから内定まで510日間

転職前

業種
IT業界
職種
エンジニア
業務内容
デジタル化・DX推進の開発

転職後

業種
IT業界
職種
エンジニア
業務内容
システム改修・開発

派遣先7社でスキル磨き、視野を広げた前職時代。ものづくりへの思いを胸に転職活動へ。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

凸版印刷株式会社が2021年6月、沖縄県うるま市に開設したサテライトオフィス「ICT KOBO URUMA」で、同年9月から勤務しています。

上司や同僚5人と共に、システムの開発・改修案件や、地域の課題解決に向けたシステム開発を手掛けています。私はエンジニアとして、現在は沖縄県外の金融機関の業務改善に向けた開発案件を主に担当しています。

入社前の経歴を教えてください。

大学卒業後、沖縄に本社があるソフトウェア開発会社に就職し、10年間勤めました。沖縄には製造業はあまりないのですが、IT企業なら物づくりに関われると考えたからです。大学では半導体に関する研究をしていたので、「何かを創る仕事がしたい」と思っていました。

入社当時からその会社は、IT関連のエンジニアの派遣業が主流になっていたので、私自身も派遣された県内外の計7社で、様々な案件のシステム構築やプログラム開発などを経験しました。

前職10年のうち5年近くは富山県や千葉県など沖縄県外で勤務。派遣先には本当にいろいろな会社がありました。外国の方々とも一緒に働く機会があったので、自分の視野や世界が広がったと感じています。

実は、昔は初めての環境や人に順応するのはあまり得意ではなかったのですが、いろんな事業所を渡り歩いたおかげで、適応力は身についたと思います。仕事では、動き始めているプロジェクトに入ることが多かったので、あらかじめ過去の資料類に目を通し、全体像や各種ルールを早く把握できるよう努めていました。

転職のきっかけは?

転職前の直近3年ほどは、東京都の派遣先で勤務していました。派遣エンジニアは、多様な案件を手掛けられる良さもありますが、数カ月から数年で各社を渡り歩く働き方です。

30代になり将来を考えた時に、「このままでいいのか」と考えるようになりました。親が高齢になり、なるべく近くにいたいと考え始めたことも、きっかけの一つです。

何より、依頼された改修や開発案件だけでなく、「新しいサービスを自分の手で生み出したい」と考えるようになりました。地元の沖縄で実現できたら、地域貢献に繋がるかなとの思いもありました。

転職活動はどのように進めましたか?

以前から転職サイトには登録して、定期的にリサーチしていました。本格的に動き始めたのは2020年、リージョナルキャリア沖縄(運営会社:レキサン)にエントリーしてからです。「地方の転職」「地方に強い 転職」などとWeb検索し、目に止まったのです。

新型コロナウイルスの感染拡大などで動けなかった時期もありましたが、担当コンサルタントの玉城さんには企業とのやり取りを含め、とても丁寧にサポートしてもらえました。最終的には提案された2社を受け、2社から内定をもらえました。

リサーチは大切だけど、飛び込む勇気も必要。アイデアをカタチにできる人材になりたい。

今の会社に決めたポイントは?

内定を獲得した2社は、どちらも自社でシステム開発する企業で、双方に魅力を感じていました。ただ、凸版印刷の方がより新しいサービスを創っていこうとする姿勢を強く感じたのです。

内定から入社までは、半年ほど時間をもらいました。前職で担当していたプロジェクトの区切りがつくのに時間がかかったからです。自分がプロジェクトの途中で離れることで、同僚やクライアントに迷惑をかけるのは不本意でした。退職に向けた進め方についても、担当コンサルタントからアドバイスをいただき助かりました。

転職していかがですか?

凸版印刷は世界中に多数の拠点があり、従業員数5万人以上を抱える企業です。私が働く沖縄のサテライトオフィスも最新の設備でハイスペックのPCが貸与されるなど、とても快適な環境で仕事に集中できます。

転職して良かったと思うことは?

願っていた新規事業の開発案件が動き始めていることです。具体的には、農林水産業に関わる課題を解決するためのアプリ開発です。

転職で目指した「新しいサービスを生み出し、地域に貢献したい」という目標に近づきつつあります。

困っていることや課題はありますか?

新しいサービスの開発は、正解がない中でプログラムを創り上げる仕事です。前職では派遣先企業の求める仕様に合わせてプログラムを作る仕事が多かったので、新しいことが多くて大変さもあります。

例えば、ある水産物を選別するアプリ開発の場合、AI を活用した画像解析で出荷時期などを判断するわけですが、対象の特徴や生育過程を含めて熟知する必要があります。ITスキルだけでなく、様々な分野の研究が必要だと痛感しています。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

転職活動に際しては、いくら情報収集をしても、実際に入ってみなければ分からないことも多くあります。リサーチは大切ですが、最後は勇気を持って飛び込んでみることも必要だと感じています。

私のこれからの目標は、ITスキルを磨くことはもちろん、「0から1を生み出す力」を培うことです。ユーザーに近いところで声を聴きつつ、フィールドワークで見えてきた課題やアイデアをカタチにできる技術力を持つ人材になりたいです。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
玉城 良樹

比嘉さんと初めて接点を持ったのは、私とは別の担当者でした。その担当者から、比嘉さんは「とても実直で真面目なお人柄」と聞いていましたが、実際にコミュニケーションを取ってみると予想以上でした。口数は少なく物静かという印象で、だからこそ丁寧に言葉を選び、真摯に対応される方だと感じました。

そんな穏やかな比嘉さんですが、熱量が変化する瞬間がありました。「仕事」「プロダクト」「会社」「沖縄」というキーワードを語られた時です。そこから比嘉さんの胸に秘めた熱い思いや、情熱が伝わってきました。

冷静に慎重に物事を進められる方なので、今回の沖縄Uターンも考え抜いた末に、ご決断されたのだと思います。コロナ禍で動きづらいなか、粘り強くコミュニケーションをしていただけたことにも強い意思を感じました。

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