転職成功者インタビュー

EF Polymer株式会社
中川康さん(研究開発) 42歳

沖縄で研究開発をリスタート。大切に育んだ信頼関係が奇跡的な転職に繋がった。

沖縄県恩納村にある沖縄科学技術大学院大学(通称OIST)発のアグリテックベンチャーとして国内外から注目を集めるEF Polymer(EF ポリマー)株式会社。中川康さんは2023年12月に同社へ転職し、研究開発職として100%オーガニックの吸水性ポリマーや関連商品の開発に挑んでいる。

2009年に大学院を修了し、東京に国内拠点がある外資系化学メーカーで9年間勤務した中川さんは、研究開発と営業職を経験した後、アメリカ留学のために退職。帰国後は沖縄に移住して海外向けネット販売事業を立ち上げていた。

ところが、経営は順調だったものの予期せぬトラブルに遭い、経済的な苦境に陥ってしまったという。「給与の高い東京で再就職するしかない」と考え転職活動を進めていたが、現職と出合って沖縄で研究開発の道を再び歩み始めた中川さんの転職ストーリーを振り返ってもらった。

※本記事の内容は、2024年8月取材時点の情報に基づき構成しています。

過去の
転職回数
3回
活動期間
エントリーから内定まで20日間

転職前

業種
小売業
職種
会社経営
業務内容
エンターテインメント用品の販売

転職後

業種
アグリテックベンチャー
職種
研究開発
業務内容
吸水性ポリマーや関連商品の研究開発

事業を辞めて関東に戻ることを決意したが、コンサルタントの提案で新たな道が拓けた。

現在のお仕事はどんな内容ですか?

干ばつによる水不足問題の解決を目指すEF Polymer で、研究開発を担当しています。

当社はインド出身のCEOナラヤンが「水不足に悩む両親や農家仲間を助けたい」との想いで研究を重ね、果物などの残渣をアップサイクルした吸水性ポリマーが主力商品で、これを農地に混ぜ込むことで生産コストを抑え、収穫量の向上が期待できます。

農業分野からスタートしたベンチャー企業ですが、私はペットシートや化粧品に用いる増粘剤など、農業以外で使える製品の開発を担当しています。

入社前のご経歴を教えてください。

「科学的アプローチで環境問題を解決したい」と考え、大学では化学を専攻して大学院進学後は早朝から深夜まで研究・実験に勤しみました。卒業後の2009年にはアメリカに本拠地がある東京の外資系化学メーカーに入社しました。

同社に9年間勤務して研究開発と営業職を経験した後、アメリカ留学を機に退職。帰国後の18年、沖縄に移住してキリスト教会を手伝いながら、コールセンターなどで有期雇用の仕事に従事しました。

また、2019年には海外向けに日本のゲーム機器や玩具をインターネットで販売する事業を立ち上げました。

転職のきっかけは?

2022年には事業を法人化するなど順調でしたが、23年に立て続けにトラブルに遭い、資金繰りが困難になったのです。預貯金をすべて失い、「廃業しかない」という状態になりましたが、起死回生を目指して新規事業を立ち上げようと一カ月ほど不眠不休で働きました。

しかし、自分で決めたタイムリミットまでに事業を収益化できるビジネスモデルが描けませんでした。「やはり関東に帰って給与の高い東京で再就職するしかない」と判断し、23年11月半ばから転職活動を始めました。

転職活動はどのように進めましたか?

東京など首都圏に比べて、沖縄の給与水準は低いので、「東京しかない」と考えていました。最終的には約300社に応募し、有名な転職支援会社にも6社ほど登録。すると想定以上に多くの企業様から反応をいただき、2週間で5社ほどが同時に最終面接の段階に入っていました。

沖縄を離れることが現実的になり、前回の転職でお世話になったリージョナルキャリア沖縄(運営会社:レキサン)のコンサルタント島村さんに、現状を報告しようと連絡しました。

島村さんは4年前に出会ってから定期的に連絡をくれて、私が事業を立ち上げる際にも相談に乗っていただくなど、とてもお世話になってきたので、きちんとお礼が言いたかったのです。

転職活動に至った理由や事情を聞いた島村さんから、「沖縄に残りたい気持ちはありますか」と聞かれました。私が「残りたいです」と答えると、「その言葉を待っていました。中川さんにご紹介したい会社が1社だけあります」と言われ、紹介されたのがEF Polymerでした。

今の会社に決めたポイントは?

大学院時代も1社目の会社でも研究開発に携わっていたので、産学連携のスタートアップが成功する難しさは、よく分かっていました。そのため、島村さんから話を聞いた当初は、正直あまり期待していませんでした。

しかし、調べれば調べるほど同社のポテンシャルと事業展開のユニークさに衝撃を受けました。

環境問題を解決するために、世界中の科学者や研究機関が石油由来でない製品を開発しようと努力しているのに、なかなか実現できません。それなのに、沖縄の小さな会社が製品化に成功していることに大きな魅力と可能性を感じました。

その後すぐに数回の面接を経てCEOと最終面接し、採用が決定。わずか2週間で流れが変わり、奇跡的だったと感じます。

環境問題を解決する製品を、沖縄のスタートアップが開発していることに衝撃を受けた。

転職していかがですか?

化学メーカーには主に5つの仕事があります。マーケティング、営業、研究開発、製品化、物流です。幸い私は1社目でマーケティングから製品化まですべて経験していました。また、物流も法規制や関税、必要書類については把握していました。

当社では、それらを網羅的に対応できる人がいなかったこともあり、私のこれまでの経験や知識が活かせていると感じます。

転職して良かったと思うことは?

互いをリスペクトする組織風土があり、コミュニケーションの大切さを一人ひとりが認識しているので仕事が円滑に進められることです。

また、社員への信頼が前提にあるので、自主性を尊重してくれます。働く場所や時間が拘束されないので、とても働きやすいです。

困っていることや課題はありますか?

良い意味で困っていることは、たくさんの企業や投資家が期待してくださっているのに研究開発に時間が掛かっている点です。

ただしマンパワーやリソース不足といった今の課題は、リーダーが既に把握しているので、近く解決すると思っています。

生活面の変化はありましたか?

恩納村以外にうるま市にもラボがあり、9割はそちらで働いています。プライベート面では、友人と過ごす時間が増えました。

沖縄本島中部の「海中道路」が近いので、浜比嘉島や宮城島や伊計島に行って散歩する機会が増えたのも嬉しいです。

転職を考えている人にアドバイスをお願いします。

「一つ一つの出会いを大切に」という言葉に尽きると思います。私がEF Polymerに出合えたのは島村さんのおかげ。島村さんも一期一会を大切にされる方なので、私も安心して連絡できたのだと感じます。

加えて、私は仕事でも転職活動でも「考えつくことは全部やること」を大切にしています。自分にできることは徹底して実行した上でPDCAを回すことが、自身の成長につながります。

担当コンサルタントから

コンサルタント 
島村 賢太

沖縄に新しい産業を創出し、研究開発型ベンチャーエコシステムを構築することで沖縄県経済への貢献を目的としている沖縄科学技術大学院大学(OIST)。EF Polymer社は、OISTスタートアップの中でも特に注目を集めており、事業展開も順調な「沖縄から世界に向けて事業を展開する」夢を持った企業です。

中川さんとEF Polymer社のマッチングはまさに奇跡的なタイミングでした。中川さんも、多くの研究者や企業が挑戦している環境問題の解決策を沖縄のスタートアップが実現していることに大きな魅力を感じており、彼の研究開発に対する情熱と経験が同社のミッションと見事に合致しました。

私もOISTのインキュベーション施設に入居して仕事をしているため、中川さんの姿をお見掛けする機会がありますが、生き生きとされている姿が印象的です。今後も沖縄から世界に向けて一緒に頑張りましょう!

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