2026.09.30
【2026年9月】沖縄県のAI活用最新動向レポート
こんにちは。リージョナルキャリア沖縄のスタッフです。
2024年11月に「沖縄県のAI活用最新動向レポート」をお届けしてから、約2年が経ちました。当時ご紹介したのは、鍾乳洞での多言語音声ガイドの実証実験や、那覇市の生成AI活用方針の策定など、「試している」「方針を決めた」段階の取り組みが中心でした。
それから2年。沖縄のAI活用は、成果が数字で語られ、行政の窓口や企業の採用選考といった"本番"の場面にまで広がっています。今回は、2026年の沖縄で実際に起きているAI活用の動きを、企業・行政・観光の各分野からご紹介し、あわせて沖縄のAI関連求人をお伝えします。
県内企業の6割超がAIを活用──全国との差は残る
まず、沖縄県内の企業がどの程度AIを使っているのか、公的な調査から見てみましょう。
内閣府沖縄総合事務局財務部が県内企業40社(製造業7社、非製造業33社)へのヒアリング(2025年12月上旬〜2026年1月上旬)をもとにまとめた「地域におけるAI活用を巡る現状」によると、AIを「活用している」と答えた県内企業は63%。約5年前の時点では0%でしたので、この数年で一気に普及したことがわかります。
同じ枠組みで各財務局等が全国1,103社を対象に行った調査では、活用している企業は約5年前の11%から現在は75%へ。沖縄はこれを12ポイント下回っています。
県内企業の活用の中身を見ると、用途は「文章作成」が92%、「情報検索・収集・調査」が88%と突出しています。効果として最も多く挙がったのは「業務時間削減」で96%。ヒアリングでは、2時間の打ち合わせの議事録作成に1時間ほどかかっていたものが、AIの活用で5分で完了するようになったという声(建設業)や、AIチャットボットで社内規程やFAQの検索が効率化したという声(情報通信業)が寄せられています。
一方で、AIを活用している県内企業のうち、「製造・品質管理」に使っている企業は4%(全国21%)、「在庫・調達管理」も4%(全国16%)にとどまります。沖縄のAI活用は事務作業の効率化が中心で、ものづくりや供給の現場まではまだ広がっていない、という段階のようです。
そしてもう一つ、県内で「0%」だった用途があります。「採用支援」です(全国は4%)。ところが調査からわずか数か月後、県内を代表する企業が採用選考にAIを導入しました。
参照:内閣府沖縄総合事務局財務部「令和7年度全国財務局長会議 席上配付資料」(2026年1月29日)
採用選考にAI──沖縄セルラー電話がAI面接を導入
2026年の沖縄で、もっとも象徴的なAI活用のニュースのひとつが、採用選考へのAI導入です。
沖縄セルラー電話株式会社は、2026年度の新卒採用選考(2028年卒学生対象)において、株式会社Preferred Networksが提供するAI面接サービス「タレスカAI面接」を導入しました。AIアバターとの対話を通じて候補者の回答を深掘りし、評価レポートを作成する仕組みで、スマートフォンやパソコンから24時間受検できます。
導入の背景として同社が挙げているのは、沖縄ならではの事情です。離島在住の学生や県外の大学に通う学生にとって、対面選考は大きな負担でした。AI面接は日時を調整する必要がなく、24時間いつでも受検できるため、地理的・時間的な制約を受けにくくなります。同社はAI面接を「採用担当者の判断を支援する補助ツール」と位置づけ、最終的な合否判断は必ず採用担当者が行うことを前提に、評価のばらつきを抑えつつ、離島・県外の学生を含めた公平な選考機会の提供を目指すとしています。なお、導入初年度の2026年度は検証期間とし、AI面接の録画データを採用担当者が確認して、人とAIの評価に乖離がないかを検証するとのことです。
同社は採用以外でもAI活用に取り組んできました。名護市では、株式会社ジャパンエンターテイメントと沖縄セルラー電話が主体となり、AIが予約に応じて最適なルートや配車を算出する乗り合い型移動サービス「mobi」を使ったAIオンデマンド交通の実証運行を2025年7月から2026年2月まで実施しました。
参照:沖縄セルラー電話株式会社 報道発表資料「AI面接を活用した新たな採用選考を試験導入」(2026年6月12日)
行政:AIが窓口に立つ──那覇市役所と沖縄県庁
那覇市役所にデジタルヒューマン「CONN」
前回のレポートでご紹介した那覇市は、2023年11月に「那覇市生成AI活用方針」を策定し、翌12月から生成AIを導入していました。その那覇市で2026年春、期間限定でAIが市民の目に見える形で登場しました。
NTTドコモビジネス株式会社と那覇市は、2025年3月に締結した「『特化型生成AIの共同実証による未来協創連携』に関する協定」に基づき、コミュニケーションAI技術を活用した行政窓口案内サービスの実証実験を2026年4月20日から5月21日まで実施しました。那覇市役所本庁舎に、人に近い外見と対話インターフェースを備えたデジタルヒューマン「Digital Catalyst CONN(コン)」を設置し、来庁者からの行政手続きの問い合わせに対して、生成AIを活用して適切な窓口を案内するものです。
少子高齢化や職員確保が課題となるなかで、来庁者への案内品質を維持・向上させる新たな手法を検証するもので、地元紙によると県内自治体では初の実証事業とのことです。
参照:NTTドコモビジネス株式会社 報道発表(2026年4月15日)
沖縄県庁:生成AIで月2,000時間超の業務短縮
沖縄県庁では、2年間の検証期間を経て、安全性が確保された生成AIサービスを導入し、2025年度から職員の利用を開始しました。2025年9月の県DX推進本部会議で報告された利活用状況によると、登録した職員は1,215人(2025年8月5日時点)。用途で最も多いのはあいさつ文や議事録などの原稿作成で、削減率は60〜75%にのぼります。2025年4〜6月の実績では、月平均で約2,213時間の作業が削減され、費用に換算すると月あたり約509万円の削減効果が出ています。
参照:沖縄県「令和7年度第1回沖縄県DX推進本部会議」資料5(2025年9月11日)
観光:実証実験から「年間3万人増」へ──CAVE OKINAWA
前回のレポートでは、うるま市の鍾乳洞「CAVE OKINAWA」で、TIS株式会社と株式会社CAVE OKINAWAが生成AIを活用した多言語音声ガイドの実証実験を行っていることをご紹介しました。
その後、この取り組みは本格的な運用に移り、成果が数字として表れています。琉球新報の報道によると、AIを活用したサービスの導入で年間来場者数は3万人増、導入後わずか1年で来場者数が急増しました。ガイドの省人化や多くの案内板の撤去によって、人手不足への対応と鍾乳洞本来の姿の保全を両立し、もっとも効果が高かったのは顧客満足度の向上だったといいます。
観光客数が高水準で推移する沖縄で、人手不足と満足度向上を同時に解決するAI活用の成功例として、県内観光業界からも注目されています。
参照:琉球新報(2026年4月24日)
企業:AI企業が沖縄に拠点を置き、人を育てる
県外発のAI企業が沖縄に拠点を構え、人材育成と雇用創出に取り組む動きも出てきました。
AI活用支援や事業変革を手がける株式会社Anfiniは、2026年1月に那覇市に拠点「Ryukyu AI Park」を設立。AIを活用した事業展開やニアショア体制の構築を推進するとともに、地方におけるデジタル人材育成や新たな雇用創出に取り組むとしています。同社は2026年11月に開催される「ResorTech EXPO 2026 in Okinawa」にダイヤモンドスポンサーとして参画し、AI活用・人材育成・地域連携に関する展示や特別講演を予定しています。さらに2026年8月には、本店を東京都港区から那覇市へ移転しました。
参照:株式会社Anfini プレスリリース(2026年5月26日、8月7日)
この秋、沖縄のAI・DXを一望できる場
沖縄県内最大のDX・IT展示商談会「ResorTech EXPO 2026 in Okinawa」が、2026年11月19日(木)・20日(金)の2日間、沖縄サントリーアリーナ(沖縄市)で開催されます。今年で第8回。国内外のDX・IT企業が集結し、AI活用事例の展示やセミナーが行われます。入場は無料(事前登録制)です。
同じ11月20日には、沖縄市コザでスタートアップカンファレンス「KOZAROCKS 2026」が開かれ、ResorTech EXPOとの公式連携も予定されています。沖縄でAIやITに関わる仕事を考えている方は、この2日間に足を運んでみると、県内の動きがまとめて見えるはずです。
参照:一般財団法人沖縄ITイノベーション戦略センター(ISCO)発表(2026年5月28日)/KOZAROCKS 2026 公式サイト
沖縄のAI関連の求人
行政の窓口から企業の採用選考まで、AIが沖縄の"現場"に入ってきました。県内企業の活用がまだ文章作成中心にとどまっていることを踏まえると、これから求められるのは、AIを開発する人材だけでなく、AIを自社の業務や事業に落とし込める人材でしょう。
以下に、リージョナルキャリア沖縄で取り扱っているAI関連求人の一例をご紹介します。
※2026年9月7日時点の求人情報となります。閲覧されるタイミングによっては掲載が終了している場合もございますので、あらかじめご了承ください。
|AI推進・活用コンサルタント/ChatSupportBase株式会社
・勤務地:沖縄県那覇市
・想定年収:420万円〜600万円
・主な職務:クライアントおよび自社のDX・AXを牽引するポジションです。現場部門へのヒアリングを通じた業務課題の特定とAI活用戦略の策定・要件定義、生成AIを用いた業務フローのリデザイン(BPR)、利用ガイドラインの策定や活用研修による現場への定着化、PoC推進のプロジェクトマネジメントまでを一気通貫で担当します。
|グループ全体のAI戦略を担う推進者/株式会社ONE MORE
・勤務地:沖縄県浦添市
・想定年収:400万円〜600万円
・主な職務:建設・ホテル・設備管理・不動産など多角的な事業を展開するグループのAI活用戦略・ロードマップを策定し、AI実装と業務変革を牽引します。各社の業務分析とAI活用テーマの選定、生成AI・AIエージェント導入の企画とPoC設計・効果検証、全社の運用ルール整備、外部パートナーとの連携などを担当します。
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